色々あるよ! ヴィーガンレザーの種類とその魅力
今日は、当店でもお取り扱いの多い「ヴィーガンレザー」についてお話してみようかと思います。
ヴィーガンレザー。
最近よく耳にする言葉ですが、みなさまその正体をご存知でしょうか。
「なんとなく動物にやさしい素材」「ふんわり理解してる」という方も多いかもしれませんね。
かくゆうquoteバイヤーである私も、その存在を知ったのは今から約10年前。
イタリアだったか、アメリカだったか、どこかの国の、どこかのブランドさんが取り扱っていて、動物を愛する私としては決して無視できない素敵なコンセプトに、ハートをぶち抜かれたのが出会いのきっかけ。
ふんわりと理解し、命の代償として分かりやすい「リアルファー」や「本革」の取り扱いをきっぱりとやめ、できるだけ動物にやさしいものを選んで販売してきました。
そこから月日は流れ、2022年春。
「洗練レザーは動物性の本革一択」だった市場に、変化が表れます。
「SDGs」「サステナブル」という言葉が広く使われるようになり、ヴィーガンレザー製品が続々と国内メディアに登場。
ついに当店のVOTCHもMONOマガジンに掲載されました。
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10年前の運命の出会いから今日まで、高級志向のヴィーガンブランドも増え、バイオマスやら何やらで新素材がでてきたりで、ヴィーガンレザー市場も目まぐるしく変化しています。
世界はゆっくりとやさしくなっていき、ヴィーガン素材が増えすぎた私の頭は高速でぐるぐる回転中ではありますが、一旦整理しよう!
今日はできるだけ簡単に、最低限の知識をみなさまと共有し、ヴィーガンレザーの魅力と特徴について考えてみようと思います。
では、早速本題に入りましょう。
ヴィーガンレザーとは
すごく簡単にいうと「動物の皮を使わないレザー」の総称のこと。
動物の皮を使用せずに、革の見た目・質感を再現した素材で、主に基布に合成樹脂を塗り重ねることで、表面が本革っぽいコーティングの生地が完成します。
昔はフェイクレザーと呼ばれていましたが「ファッションのために動物の命を犠牲にしない」というフィロソフィーがプラスされて、言葉も進化したのだと私は勝手に解釈しています。
一口にヴィーガンレザーといっても、その種類はさまざま。
大きく分けて2種類のヴィーガンレザーが存在しますので、脳内にメモっておこう。
「石油由来」と「植物由来」です。
石油由来のヴィーガンレザー
石油由来のヴィーガンレザーには、塩化ビニル樹脂(PVC)やポリウレタン(PU)があります。
これらは昔からある素材で、天然皮革に比べるとお手入れがラクで扱いやすく、素材自体も手に入りやすいため、市場に最も流通しているヴィーガンレザーと言えます。
魅力はプロダクトデザインとしての自由度の高さ。
カーフ風、クロコダイル風、スエード風など、さまざまな風合いを作ることができます。
また、カラーバリエーションが豊富で、鮮やかな色からニュアンスカラーまで楽しめるのも魅力のひとつ。
季節ごとに色を変えて、コレクションを展開でき、時代の鮮度を感じ取ることができますので、動物へのやさしさだけでなくオシャレも最大限に楽しみたい方におすすめです。
また、Matt&Natなどのように、コンセプトとして「ヴィーガン」や「サステナビリティ」を掲げているブランドの場合、レザー素材そのものだけでなく、パッケージや裏地まで環境のことを考えて作られていたり、ブランドとして動物や環境への保護活動にも力を入れていることが多く、一般的な合成皮革・人工皮革を購入するよりも地球への貢献度は高いと言えます。
◯塩化ビニル樹脂(PVC)
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塩化ビニル樹脂(PVC)は加工性が高く本革に近い質感を表現できます。
ポリウレタンに比べると硬くハリがあり、加工しやすいので、さまざまな革の風合いを再現できます。
汚れに強く、汚れても拭くだけでOKなのでメンテナンスも簡単。
◯ポリウレタン(PU)
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柔らかくもちもちとした肌触りが特徴で、本革に近い見た目と質感があります。
弾力性・柔軟性が高く、やわらかいカーブにも柔軟に対応できるため、ソファやジャケットにもよく選ばれる素材です。
高耐久でキズに強い優れた、プレミアム性能の新素材「EPU」も人気急上昇中。
植物由来のヴィーガンレザー
代表的なものとしては、アップルスキン、カクタスレザー、パイナップルレザーなどが挙げられます。
(他にも、きのこ、ブドウ、ココナッツなど、色々あるよ!)
本来であれば100%石油由来のヴィーガンレザーに対して、天然成分を含有することで石油系樹脂の含有率を減らし、生産時や廃棄時の二酸化炭素排出を減らしていますので、動物だけでなく環境にも配慮された「新時代のヴィーガンレザー」として期待されています。
※植物由来のヴィーガンレザーはアップサイクルの工程があるため、値段が少しお高めですよ
動物のことも、環境のことも、しっかりと配慮したいフィロソフィーを持つ方におすすめです。
◯アップルスキン
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「Apple Skin ™(アップルスキン)」は、アップルジュース産業で破棄されるリンゴの皮やカスをを主原料とした樹脂を使用していますので、動物愛護、環境配慮の両方の観点から、よりサステナブル・エシカルにつながるとして注目されています。
レザーの風合いも損なわないで、軽量で水に強く、高級志向のブランドにも取り入れやすい上質な素材感です。
◯パイナップルレザー

パイナップルレザー製品はこちら
パイナップルレザーといえば「Piñatex(ピニャテックス)」、イギリスのロンドンにあるAnanas Anam社のヴィーガンレザーです。
廃棄されるパイナップルの葉の繊維を主成分にしたヴィーガンレザーで、厚みがあり軽量。
ナチュラルなシボ(模様)があり、本皮というよりも和紙に近い素材感ですので、カジュアルな風合いで、スニーカー、バッグ、アクセントパーツに使用されることが多いようです。
◯カクタスレザー
カクタスレザーの製品はこちら
Cactus(サボテン)が自生しているメキシコで生まれたヴィーガンレザーで、サボテンの葉の粉末を加工して生産されています。
最大の魅力は、その耐久性。
通常、植物性のヴィーガンレザーは、植物の繊維を樹脂などと混ぜて作るため、動物性レザーと比べると耐久性に劣ります。
しかし、カクタスレザーは摩擦や引っかき傷などにも強く、通気性も優れているため、ヴィーガンレザー中でも優秀な素材として高く評価されています。
質感は、PUのように滑らかでやわらかく、ややふっくらとしています。
PVB
そして、別枠になるのか、石油系になるのか分かりませんが、ヴィーガンレザーとして紹介したい素材がもうひとつ。
PVB製品はこちら
「PVB」、防弾ガラスにも使われることで知られる強い中間膜で、ヴィーガンコレクションをいち早く取り入れたカナダ・モントリオールのブランド「Matt&Nat – マット・アンド・ナット」が今最も力を入れているヴィーガン素材です。
なんとPVBさん、100%リサイクル可能!
質感はゴムのような弾力があり、強く、しなやかです。
「サーキュラーファッション(資源を循環させてファッションと環境保護の両立をはかること)」の位置付けで、資源循環型のヴィーガンレザーとして大変がんばっておられますので、一応紹介しておきます。
耐久性について
動物や環境を守るためのサステナブルな物づくりは、現代において無視できない課題となってきました。
新素材も続々と登場し、技術は着実に進歩しています。
しかしながら、ヴィーガンレザーは石油由来であっても植物由来であっても、本革よりもはるかに薄く、耐久性は劣ります。
本革のレザーは時間の経過とともに古くなり味わいが出て、手入れをすれば数十年に渡り使い続けられますが、ほとんどのヴィーガンレザーは経年による豊かな味わいはなく、劣化と共にお別れがきます。
例えば、PVC素材は通気性や弾力性が弱く、硬めの素材ですので、特にカーブしているところは経年劣化で表面のコーティングが割れやすくなります。
硬さのない、ソフトな質感のPUや新ヴィーガンレザー(植物由来)であっても、使い続けることで表面が剥がれてきます。
考え方、ライフスタイル、予算、買い替えの頻度など、人によってさまざまですので、モノ選びに正解はありません。
「手にすることで幸せな気持ちになれる」それが、あなたの正解です。
でももし色々悩んだ結果、当店と出会って、ヴィーガンレザーという存在を知って、使ってみるきっかけになれば、本当にうれしい。
使いながら幸せを感じてくれると、尚うれしい。
「1の完璧より、100の興味」、私が信じている言葉です。
みんながちょっとずつヴィーガンレザーに興味を持ってくれれば、市場はもっともっと大きくなり、競争が生まれる。
いつの日かきっと、手頃な価格で、さまざまな面において天然皮革よりも優れたスーパーヴィーガンレザー(スーパーサイヤ人的な)が出てくるはず。
そうしたらきっと、動物の命と引き換えに素材を手に入れる必要がなくなると思うのです。
そのために、quoteはヴィーガンレザーに執着して、販売を続けています。
最後に
「できるだけ永く使っていただきたい」
だらだらと長く書きましたが、当店では数あるヴィーガンレザー製品の中からできるだけ品質の高いもの、ブランドのフィロソフィーを感じ取れるものだけを選び、販売しています。
素敵な選択をした自分自身を誇りに思ってほしいし、素材だけでなく、ファッションも楽しんでほしい。
そして、できれば小さな劣化は気にせずに、あなた自身が耐えられる範囲での素材の寿命まで、大切に使ってほしいのです。
ヴィーガン素材のさらなる進化に期待しながら、今後も素敵な製品をご紹介できますように、世界がもっとやさしくなりますように、ショップとして少しでも関われますように、quoteはいつも願っています。
[取り扱いブランド]
#マットアンドナット #Hairoo #VOTCH #VeganLeatherCo